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【理学療法士必見】アキレス腱断裂術後の癒着アプローチの重要性

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サッカーしていてアキレス腱切れましたー

30代男性

 

アキレス腱断裂は、若いアスリートから青壮年層まで幅広い年代で受傷します。

 

そのほとんどが、スポーツ活動中に起こります。

 

早期から荷重するために、整形外科医は手術でアキレス腱を繋げてくれます。

私たち理学療法士は、術後プログラムを実施していきます。

 

しかし、術後プログラムは進んで行きますが、足関節の可動域制限がよくみられませんか?

 

でも良く考えてみると、足関節は手術で何も処置していませんよね?

 

つまり足関節のROMの制限はアキレス腱周囲にあることは明確です。

 

しかも、可動域の制限因子のほとんどが、手術によって侵襲があったアキレス腱と周囲の癒着です。

 

私たち理学療法士にできることは、癒着を作らせないアプローチです。

アキレス腱断裂後の癒着について考えていきましょう!

 

アキレス腱周囲の解剖

出展:整形外科リハビリテーション学会 編:改訂第2版 関節機能解剖に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー下肢 pp221 図7

アキレス腱は、踵骨隆起の近位1/3には停止していません。

 

この部分には、後踵骨滑液包が存在しており、踵骨後上隆起との摩擦を軽減しています。

 

また後踵骨滑液包の近位には、Kager’s fat pad(KFP)という脂肪の塊が存在しています。

 

Kager’s fat padの機能解剖

Kager’s fat pad・・・初めて聞きました。

新人理学療法士A

 

私も、アキレス腱断裂の患者さんを担当するまでは知らなかったです。

 

アキレス腱断裂後には非常に重要な、Kager’s fat padの動きについて説明します。

 

底屈・背屈時のKager’s fat pad(KFP)の機能解剖

Kager’s fat padは、アキレス腱と長母趾屈筋と踵骨上縁で構成される脂肪組織です。

 

底屈時には長母趾屈筋側のKager’s fat padはアキレス腱ー踵骨間に入り込み、アキレス腱側のKager’s fat padは近位に移動します。

これにより、後踵骨滑液包周辺の内圧を調整しています。

 

逆に背屈時では長母趾屈筋側のKager’s fat padは押し出され、アキレス腱側のKager’s fat padは近位に移動します。

 

Kager’s fat padが適切に動くことが、キーポイントとなってきそうですね!

ハヤシ

 

手術後のリハビリテーションの流れ

出展:スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション 園部俊晴 (2011)   pp246 表1

 

術後早期から、癒着に対してのアプローチが必要ですね!

 

そもそも癒着とは?

癒着とは

本来は分離しているはずの臓器・組織面が、外傷や炎症のために、くっつくこと

引用元:コトバンク アクセス日 (2018/07/09)https://kotobank.jp/word/癒着-651968

 

炎症→線維化→瘢痕化→癒着という流れて癒着していきます。

 

アキレス腱断裂の術後で癒着しやすい部位とは?

  1. 術部とその周辺の皮膚
  2. ヒラメ筋と長母趾屈筋の間
  3. Kager’s fat padとその周辺組織

 

これらについて、説明していきます。

 

癒着しやすい部位 ①術部とその周辺の皮膚

皮膚の癒着は最後まで残りやすい部位です。

 

正常であれば、下腿三頭筋が収縮するとアキレス腱が収縮しますが、その周辺の皮膚は収縮しません。

 

しかし、アキレス腱を手術した人は、アキレス腱と皮膚・皮下組織が癒着し、下腿三頭筋の収縮とともに皮膚が動きます。

 

癒着しやすい部位 ②ヒラメ筋と長母趾屈筋の間

傷口の下の層にあるヒラメ筋と足趾の筋(特に長母趾屈筋)の間で癒着が生じます。

 

癒着しやすい部位 ③Kager’s fat padとその周辺組織

Kager’s fat padは、他の軟部組織と同様に、固定や免荷により、萎縮や繊維化をきたします。

 

アキレス腱断裂の術後の免荷が終わり、荷重をかけていく段階に入っても、Kager’s fat padが長母趾屈筋に癒着していて、滑走しないことが良く見られます。

 

 

アキレス腱断裂術後の癒着へのアプローチの方法

術創部の皮膚の癒着へのアプローチ

術創部をつまみ、近位や遠位・内側外側に動かします。

 

近位・遠位へのアプローチ

 

内側・外側へのアプローチ

 

特に上下の運動が大切であると思います。

皮線は横に走っているのに、術創部は上下に走っているため、本来の皮膚の運動を阻害しています。

ハヤシ

 

ヒラメ筋と長母趾屈筋の癒着へのアプローチ

長母趾屈筋のストレッチング

コツ:第1中足骨が動かないように固定します!

 

長母趾屈筋の収縮

徐々に抵抗を上げてください!

注意:必ず足関節の可動域内で行うように!

 

様々な角度で長母趾屈筋のストレッチングや運動したいですね!

ハヤシ

 

Kager’s fat padへのアプローチ

アキレス腱とKager’s fat padへのアプローチ

スタートポジションとしては、術創部のアキレス腱のKager’s fat padをつまみます。

そこから足関節を自動底屈させます。

アキレス腱は近位に滑走します。

と同時に、つまんだKager’s fat padを遠位に動かします。

 

踵骨の付着部にKager’s Fadpadを入り込むようにするイメージですね!

ハヤシ

 

長母趾屈筋とKager’s Fadpadへのアプローチ

Kager’s fat padをつまみ、固定させます。

▲の状態で、母趾を自動屈曲させます。

コツ:長母趾屈筋の収縮に合わせて、Kager’s fat padを遠位に動かします!

 

この運動は比較早期から行いたいですね!

長母趾屈筋は、手術で触っていないので!

ハヤシ

 

癒着以外に考慮したいこと

術後、ヒール付き歩行装具を使用して、歩行する時期は約2ヶ月!

この期間は底屈位で歩行することとなります。

 

底屈位で歩行することにより、踵骨が回外位となります。

 

立脚期で起こる踵骨回内を徒手で誘導することも行います。

 

また、底屈位では距骨は前方に変位します。

上記と同様に立脚期の距骨の足関節への入り込みを阻害するので、距骨の足関節への入り込みを誘導します。

 

もちろん、アキレス腱断裂の癒着へのアプローチも大切ですが、それ以外の二次的な制限因子にもアプローチが必要です!

 

まとめ

アキレス腱断裂術後には、組織の治癒過程で癒着が起こります。

 

癒着による可動域の制限は、リハビリを進めていく中で非常に厄介です。

 

まずは、どこの部位で癒着が生じやすいかを捉える必要があります。

  • 術部とその周辺の皮膚
  • ヒラメ筋と長母趾屈筋の間
  • Kager’s fat padとその周辺組織

特に、Kager’s fat padの理解は必要ですね!

 

実際の癒着へのアプローチは

  • 術創部の皮膚の癒着へのアプローチ
  • ヒラメ筋と長母趾屈筋の癒着へのアプローチ
  • Kager’s fat padへのアプローチ

となります。

 

もちろん、癒着に対してのアプローチだけでなく、免荷による代償動作の改善も必要ですね!

 

普段の臨床の参考になれば幸いです!

 

参考文献

整形外科リハビリテーション学会 編:改訂第2版 関節機能解剖に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー下肢

sportsmedicine 2015年 No.172

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