有痛性外脛骨の理学療法はアイシングとストレッチングだけでいいの?

こんにちは!カタ(@katalogpt)です!
整形外科で働いていると、痛みでスポーツができない選手を多く診ることがあります。
サッカー選手では
- グロインペイン
- オスグッド病
- ACL損傷
- 有痛性外脛骨
- etc
これらの怪我で、プレーが満足ができない選手が多い印象です。
さらに、グロインペインや有痛性外脛骨は痛みがなかなか取れない!と悩む理学療法士も多いと思います。
今回は有痛性外脛骨で悩むスポーツ選手を診る際に、注意すべきポイントや評価、理学療法をお伝えします!
有痛性外脛骨で夢を諦めてしまう選手を、一人でも減らしましょう!
有痛性外脛骨の病態と、有痛性外脛骨の原因となりやすい内側縦アーチの低下、そして理学療法について解説していきます!
カタ
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有痛性外脛骨とは
外脛骨とは舟状骨の後下方に存在する過剰骨のことをいい、健常人でも15%前後に認めます。
ほとんどが、無症状ですが、なんらかの原因で疼痛が出現したものを有痛性外脛骨と言います。
有痛性外脛骨の病態
10〜15歳のスポーツ選手に多く発症する足部障害です。
足の内側の骨がボコッと突出しているのが大きな特徴です。
私が診た選手ではほとんどがサッカー選手でした!
カタ
運動を繰り返していて発症する選手と、捻挫など外傷がきっかけで発症する選手がいます。
捻挫したけど、ほったらかしで練習に参加してたら、痛くなってきた。
サッカー少年
というのもよく聞きますね。
有痛性外脛骨の痛み
有痛性外脛骨の痛みは、舟状骨後方の過剰骨に訴えることが多いです。
動作時痛もあり、圧痛も著明です。
私が経験した痛みが出る動作は
- インサイドキックでボールが当たると痛い
- 蹴る時の軸足を踏ん張る時に痛い
の2つが多かったです。
サッカー選手が多いので、キック動作に関連した痛みが多いんだと思います。
有痛性外脛骨の発生機序
後脛骨筋の牽引力が、停止部である外脛骨にストレスがかかり炎症が起こるため、痛みが出ると言われています。
後脛骨筋に引っ張られるようなストレスがかかる原因としては
- 急激な運動負荷
- 繰り返しの運動負荷
- 捻挫などの外傷
- 扁平足
が考えられます。
有痛性外脛骨の選手は扁平足であることが多いです!
カタ
有痛性外脛骨の評価
有痛性外脛骨の症状の評価 圧痛
圧痛は一箇所だけでなく、舟状骨の周辺を入念にチェックすることをオススメします!
▼にように、突出部、足底部、後部と圧痛の有無をチェックしましょう!
- 突出部
- 足底部
- 後部
突出部はみなさんチェックしていると思いますが、しっかりまわりの圧痛もチェックしましょう!
カタ
有痛性外脛骨の原因の評価 内側縦アーチ
内側縦アーチが低下すると、舟状骨が下方に落ち込み、結果的に後脛骨筋が伸張されます。
有痛性外脛骨の原因が何かを知るためにも、内側縦アーチの低下の有無、左右差を客観的に評価する必要があります。
内側縦アーチを構成する要素
内側縦アーチは
- 踵骨
- 距骨
- 舟状骨
- 内側楔状骨
- 第一中足骨
上記の5つの骨と、
- 母指外転筋
- 短指屈筋
- 長母指屈筋
- 前脛骨筋
- 後脛骨筋
- etc
上記の筋で構成されています。
後脛骨筋だけでなく、母指に付く筋も内側縦アーチに関与しています!
カタ
なるほど!では、内側縦アーチってどうやって評価するんですか?
新人理学療法士
臨床現場でもすぐ使える、簡単な評価方法があるよ!
カタ
内側縦アーチの評価
Navicular drop testは実際の現場でも簡単にできる、内側縦アーチの評価方法です!
カタ
荷重時と非荷重時の舟状骨の位置(高さ)を比較する評価方法です。
正常な足でも、荷重時は非荷重時に比べて舟状骨は下方に落ち込みます。
正常足と扁平足を分ける値としては6.7407mm(感度86%、特異度75%)と先行研究で示されています。
実際、臨床ではmm単位なんて毎回評価できないので、初回のみ評価すると良いかもしれませんね。
カタ
そして、Navicular drop testで大切なことは左右差です。
有痛性外脛骨の症状がある側の内側縦アーチが低下しているのか?それとも両方の内側縦アーチが低下しているのか?が重要です。
もし、症状がある側の内側縦アーチが低下しているのであれば、舟状骨の下方の落ち込みによる後脛骨筋の伸張ストレスが主な原因と考えられます。
しかし、両側とも内側縦アーチが低下しているのに、片方のみ症状がでるのであれば、内側縦アーチの低下だけが原因ではないかもしれません。
競技特性など、動作を確認して、症状があるほうに負荷がかかっていないかも確認しましょう!
有痛性外脛骨に対する理学療法
内側縦アーチの低下に対する理学療法
Navicular drop testの評価結果や、動作なども考慮して、内側縦アーチの低下が原因と考えたのであれば、内側縦アーチに着目して理学療法を進めましょう!
内側縦アーチを上げるためのインソール
内側縦アーチに対して即時性で効果があるのは、インソールです。
インソールに関しては、様々なコンセプトありますが、目的は内側縦アーチを上げることです!
簡易的なものもありますが、動作を評価して、理学療法士がオーダメイドでインソールを作った方が効果的です。
インソールを作るなら、普段の靴ではなく、スパイクなど、プレーするときに履く靴に作りましょう!
カタ
内側縦アーチを上げるための筋力強化(長母指屈筋)
内側縦アーチを保持する筋力を強化することも必要です。
方法
①スタートポジション。
②足趾を伸展します。
③長母指屈筋を収縮させて、内側縦アーチを保持します。
④母指球は接地した状態で、踵骨回外するように、膝を開いていきます。
長母指屈筋の収縮を感じるようにキープする。
一度自分でやってみてください!かなり内側の筋が収縮するのがわかると思います!
カタ
負担がかかっている部位への理学療法
後脛骨筋のストレッチング
舟状骨の落ち込みにより、過剰に伸張されている後脛骨筋のストレッチングも有痛性外脛骨の理学療法としては、有名です。
しかし、個人的には対処療法に過ぎず、あまり治療効果がないと感じています。
やらないより、やったほうがマシという程度の認識です。
炎症を抑えるためのアイシングや休息
後脛骨筋に引っ張られて起きている、外脛骨周囲の炎症を抑えるために、アイシングや休息をとらせることがあります。
ハードな練習を休むことで、症状が一時的に改善することはありますが、動作など根本的な改善がないと再発してしまうことが多いです。
アイシングも同様で、急性期には効果的ですが、長期的に見ると、根本的な改善には繋がらないと考えます。
以前、アイシングのメリット・デメリットのまとめを書きましたので、こちらも参考にしてみてください!
有痛性外脛骨に効果的な筋膜調整
ここまで有痛性外脛骨の理学療法について、書きましたが、正直これらの理学療法では改善しない症例も経験します。
有痛性外脛骨に対しては、筋膜調整がかなり有効であると臨床では感じています!
簡単にですが、▼有痛性外脛骨の症例で筋膜が硬くなりやすい場所をまとめました。
有痛性外脛骨の症例で、疼痛が改善しやすいポイントです。
もちろん、例外もあるので評価は必要です!
筋膜へのアプローチは、私たちが作ったこのマニュアルで徹底的に学ぶ事ができます。
まとめ
有痛性外脛骨の特徴
- 10〜15歳のスポーツ選手に多い
- 足の内側に骨隆起
- 動作時痛と圧痛を認める
- 急激な運動負荷
- 繰り返しの運動負荷
- 捻挫などの外傷
- 扁平足
- 内側縦アーチの低下の有無、左右差(Navicular drop test)
- 圧痛
有痛性外脛骨の理学療法
- インソール
- 長母指屈筋の筋力強化
- 後脛骨筋のストレッチング
- アイシング
有痛性外脛骨に有効な治療
筋膜調整がかなり有効!
今後も、臨床で経験する疾患に対して、分かっている事実とカタ(@katalogpt)の私見を交えてお伝えします!
筋膜へのアプローチは、私たちが作ったこのマニュアルで徹底的に学ぶ事ができます。
参考文献
Roth S, Roth A, Jotanovic Z, Madarevic T : Navicular index for differentiation of flatfoot from normal foot. Int Orthop. 2013 Apr 12.