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膝関節疾患の運動療法として考えるスクワット

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膝関節疾患の運動療法というと、特に整形外科クリニックなどで働いていると行う機会が多いと思います。

 

私も整形外科クリニックで働いていますが、半数が膝関節疾患の患者さんといってもいいくらいです。

 

その中で

 

関節のアライメントを修正しても、運動して安定させないとすぐ戻るな・・

タマガワ

 

ということを常々感じています。

 

そのため、1単位20分の中で関節アライメントの修正と運動療法を行うのですが、その中で運動療法としてスクワットを選択する場合が多いです。

 

しかし、ひとくちにスクワットと言ってもやり方次第では膝に負担を掛けてしまう場合もあります。

 

私の患者さんでも、接骨院で教わりましたと言って、とんでもないフオームでスクワットを行う患者さんも実際にいました。

 

体の状態を良くしようとして運動しているのに、逆に悪くなっていくというのではやらない方がマシということになってしまいます。

 

なので今回は、膝関節疾患の運動療法で使えるスクワットの考え方をお伝えしたいと思います!

 

膝関節にストレスが掛かりやすい条件

 

スクワットの動作などを考える前にまず膝関節にストレスが掛かりやすくなる条件について考えます。

 

私は臨床の中で次の2点について着目します。

タマガワ

 

1.どのような姿勢戦略をとるか

2.関節の可動性と安定性の関係

 

1.どのような姿勢戦略をとるか

 

基本的には人は上記の3種類の姿勢戦略で体を制御しています。

 

足関節戦略⇒股関節戦略⇒ステップ戦略の順番で起こり、足関節の制御で対応できなくなると股関節での制御が始まるというような関係で成り立っています。

 

1つ1つの姿勢戦略でカバーできる範囲は、可動域や筋力、感覚などの個人差によって異なります。

 

膝関節疾患になりやすい人の特徴は股関節戦略での制御範囲が狭い、つまり股関節の機能が不十分である人が多いといえます。

 

そのため、股関節の機能低下とその前段階の足関節の機能低下を抑えることが重要になります。

タマガワ

 

2.各関節の可動性と安定性の関係

 

 

人の体には各関節ごとに、可動性が求められる関節と安定性が求められる関節に分かれます。

 

この考え方はjoint by joint theoryと言われています。

詳しくは▼の記事をどうぞ

【理学療法士必見】FMSを用いたスポーツ復帰のための段階的トレーニング

 

今回のテーマである膝関節疾患に対しての運動療法という面で考えると、先ほどの姿勢制御の部分と重なってきますが、股関節・足関節には十分な可動性、膝関節には構造的な安定が必要になるといえます。

 

前提条件として獲得したい各関節の状態

 

上記の2つの要素を考えても、まずは各関節の状態を整えることが必要不可欠だということが分かります。

 

膝関節・足関節の獲得したい状態については▼をどうぞ

 

ここでは股関節の獲得したい状態について簡単に纏めます。

 

獲得したい股関節周囲の状態

1.股関節外転・外旋の可動域が十分に保たれている

2.大殿筋が正常に機能できる状態が整っている

3.腸腰筋が正常に機能できる状態が整っている

 

1.股関節外転・外旋の可動域が十分に保たれている

 

股関節は全ての方向の可動性が保たれていることがもちろん理想的です。

 

その中でも、股関節外転・外旋の可動域が保たれてないために、重心を下げる過程で代償的に腰椎前彎・股関節内転・内旋位を取ってしまい、いわゆるknee-inという状態になってしまう人が多いです。

 

knee-inが生じると、下腿外旋・大腿内旋アライメントとなり、膝関節に回旋ストレスが加わるため膝疾患の要因の1つとなります。

 

そのため股関節外転・外旋可動域はチェックが必要です。

 

2.大殿筋が正常に機能できる状態が整っている

 

大殿筋の活動遅延、弱化が胸腰部脊柱起立筋群の過剰なストレスを引き起こし、過活動をもたらす。

Sahrmann,2015

 

大殿筋と広筋群とは、運動学的作用としては共同筋の関係ではない、しかしこの両筋の間には、互いに一方の張力が低下すると他方の張力が増加するという明確な関係性がある。

樋口 貴広他 2015 姿勢と歩行‐協調からひも解く

 

これらのことから考えると、大殿筋の機能不全により

  • 脊柱起立筋の過剰収縮による腰椎過前彎
  • 広筋群、特に外側広筋の過剰収縮による膝関節のマルアライメント

に繋がることが考えられます。

 

大殿筋周囲の滑走不全ポイントの一例

大殿筋下部・大腿二頭筋間の滑走不全

大殿筋下部・外側広筋間の滑走不全

大殿筋下部・腸脛靭帯付着部の滑走不全

大殿筋上部・中殿筋間の滑走不全

 

上記を徒手的に改善させると大殿筋を筋発揮しやすい状態に整えることが可能です。

 

3.腸腰筋が正常に機能できる状態が整っている

 

歩行時の腸腰筋の筋力低下が、腓腹筋および大腿直筋の緊張力増加を伴い、その結果として大腿直筋と腓腹筋とが関与する膝関節において力学的負荷が約16%増加することを明らかにしている。

樋口 貴広他 2015 姿勢と歩行‐協調からひも解く

 

このことから、腸腰筋の機能低下は膝関節にストレスの増加をもたらすということがいえます。

 

腸腰筋の機能向上のためのポイント1例

・大腰筋の浅頭はTh12 に起始部を持つため、胸椎の可動性が保たれていることが必要

・大腰筋は内側ハムストリングと拮抗関係を持つため、内側ハムストリングの機能が保たれていることが必要

 

もちろん股関節の可動性が保たれていないと腸腰筋の機能不全が生じるため、可動域チェックも必要です。

 

要素としてはまだまだあると思いますが、最低限考えておきたい部分です!

タマガワ

 

膝関節疾患の運動療法としてスクワットを行う場合に見るべきポイント

 

膝関節にストレスが掛かりやすい条件、各関節の獲得したい状態を踏まえた上でスクワット動作のみるべきポイントをお伝えしていきます。

 

まずは膝関節疾患に対してスクワットを行う目的を整理します。

 

膝関節疾患に対してのスクワット目的

・足関節・股関節制御範囲内での重心コントロールの向上(特に後方重心にならないように)

joint by joint theoryに基づいた各関節の適切な運動の獲得

・臀部・大腿後面筋・腸腰筋の筋出力向上

 

これらの目的にそって動作ポイントを設定していきます。

 

スクワット(ニュートラル)

 

  1. 股関節主動で腰椎の生理的前彎が保たれる
  2. 膝蓋骨の正面を第4趾列に向けて動作できる
  3. 体幹と比較して下腿が過度に前傾しない
  4. 臀部・ハムストリング上部に収縮を感じる(降下の際は遠心性・上昇の際は求心性)
  5. 一軸の線上で上下動ができる

 

上の写真は股関節の屈曲(ヒップヒンジ)・体幹の前傾を強調しています。

 

股関節・胸椎の可動性が不足している場合、股関節の屈曲角度を強調することで、ハムストリング上部・大殿筋に収縮を感じやすいです。

 

 

股関節・胸椎の可動性が拡大して余裕が出てきたら、少しずつ体幹を起こしてハムストリング上部・大殿筋に収縮が入るか確認しましょう。

 

胸椎を意識することで、腸腰筋にも刺激が入ってきます。

 

体幹が起きた状態で大殿筋・ハムストリング近位部を使えることでよりADL動作やスポーツ動作などに繋げていくことが出来ます。

タマガワ

 

ワイドスクワット

 

 

ワイドスクワットは通常のスクワットと比較して、上下動の際に内転筋群に負荷を掛けることが出来ます

 

  • 大殿筋と同様の作用を持つ大内転筋
  • 腸腰筋の拮抗筋としての作用を持つ内側ハムストリング

など重要だけど普段使われずに弱化しやすい筋肉を鍛えることが出来るので運動療法として重宝します。

 

また通常のスクワットよりも、股関節外転・外旋可動域を要求されるため、動作途中での股関節内転・内旋、腰椎前彎の代償を見抜きやすいです。

 

屈曲約90°以内の浅屈曲時にknee-inしてくる場合:主に股関節・膝関節の問題を疑う

屈曲約90°以上の深屈曲時にknee-inしてくる場合:足関節背屈可動域制限による足部からの影響も疑う

 

評価として捉えて、屈曲~度で代償が入ってくるから、ADLのこの動作では代償が入って膝にストレスが加わるな、というスクリーニングとして使えます。

タマガワ

 

膝立ち位のヒップヒンジ

 

膝立ち位からのヒップヒンジでは股関節機能を強調して見ることができます

 

立位でのスクワット⇒安定している

膝立ちでのヒンジ⇒不安定

 

という場合、立位でのスクワットでは足関節・膝関節での代償により安定しているということになります。

 

肢位を変えることで、機能不全を起こしている関節をより絞っていきましょう!

タマガワ

 

まとめ

 

今回は、膝関節疾患の運動療法として考えるスクワットについてお伝えしました。

 

  • 股関節・足関節機能を十分に保つ
  • 大殿筋・上部のハムストリング・腸腰筋を働かせるためのスクワット動作を意識する
  • スクワットを機能不全の評価と運動療法の両方向から捉える

 

スクワットは運動療法としてだけ捉えるのではなく、評価のしても捉えることで、徒手療法の効率をあげることが出来ます

 

その分、動作分析の情報量は多くなりますが、見るところを絞っていくことで対応できると思います。

 

参考になる部分があれば是非臨床で使ってみて下さい!

 

また次回の記事でもよろしくお願いします!

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