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【理学療法士必見】肩関節挙上の可動域制限のあるスポーツ選手に対する理学療法

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野球をしていて肩が痛いです。

野球選手

テニスのサーブで肩が痛いです。

テニス選手

バレーボールで肩が痛くて、スパイクが打てません。

バレーボール選手

 

このような訴えで、整形外科に来院されるスポーツ選手は多いですね。

 

理学検査を行いますが、痛みや症状が出現しないことありませんか?

スポーツをしている時のオーバーヘッド動作で、なんか違和感が残るからどうにかして〜

という患者さんの訴えに応えたい!

 

しかし、硬いところを見つけて一生懸命ストレッチングや指圧していませんか?

もしかしたらそれ、筋とか関節、壊しているかもよ?笑

 

笑’’ってつけてますが、笑えないですね!

 

肩甲上腕関節だけでなく、肩甲骨の動きも大切だと思います

もっと言えば、体幹や下肢の機能も評価して全体的に治療しないといけないと思います。

理学療法士A

 

そのとおり!私もそう思います!

では、肩甲帯や体幹の影響があることはご存知の通りですが、どのように考えてアプローチしていますか?

 

今回はオーバーヘッドスポーツをしているスポーツ選手の、上肢挙上の可動域獲得の具体的な方法を説明していきたいと思います。

 

肩関節挙上の関節可動域を制限する3つの筋

いろいろな筋が考えられますが、今回は以下の筋について考えていきます。

  1. 小円筋
  2. 大円筋
  3. 広背筋

 

挙上の制限因子となる筋1 小円筋

出展:監修 林 典雄:肩関節拘縮の評価と運動療法 第1版 pp6  図1–7

小円筋の作用

主に肩関節の外旋に作用します。

 

肩関節外転位では、中間位より強い外旋運動に作用します。

 

肩関節屈曲位では、外転位よりもさらに強い外旋運動に作用を増大させます。

 

挙上の制限因子となる筋2 大円筋

出展:監修 林 典雄:肩関節拘縮の評価と運動療法 第1版 pp13  図1–17

大円筋の作用

主に肩関節の内旋に作用します。

 

肩関節外転位では、適切に筋長が伸ばされるため、肩関節の内転・内旋運動に作用します。

 

また肩関節屈曲位では、伸展方向へと作用が変化します。

 

挙上の制限因子となる筋3 広背筋

出展:監修 林 典雄:肩関節拘縮の評価と運動療法 第1版 pp108  図5–21

広背筋の作用

広背筋は大円筋同様、肩関節内旋に作用します。

 

しかし、腰椎屈曲・骨盤後傾位となると、伸張位となるため肩関節挙上を制限します。

 

肩甲上腕関節が正常に動いているかの評価

肩を評価するにあたって、可動域を測定することは重要です!

 

しかし、本当にそれだけでいいのでしょうか?

 

挙上に関しては、肩甲上腕関節、肩鎖関節、胸鎖関節、胸郭、脊柱、骨盤・・・

数え上げるとキリがないほどの関節が作用してしているのは、周知のことです!

 

その中でも今回は、肩甲上腕関節について焦点を絞って解説していきます。

 

肩関節包下方部

出展:整形外科リハビリテーション学会 編:改訂第2版 関節機能解剖に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー上肢・体幹 pp55 図4

▲にあるように、挙上では関節包下部が緊張するため、伸張性があることが必要ですね!

 

Obligate Translation

関節包・関節上腕靭帯に局所的な拘縮が生じると、最終可動域に達する前に過度に緊張するため、可動域制限と上腕骨頭を反対方向に偏位させる力が作用します。

 

このことをObligate Translationと言います。

ハヤシ

 

▼を参考にして下さい。

出展:整形外科リハビリテーション学会 編:改訂第2版 関節機能解剖に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー上肢・体幹 pp55 図5

 

肩後下方の関節包の伸張性が低下していると、挙上時に上腕骨頭が前上方に偏位が生じ、肩峰下接触圧が高まった状態となり、インピンジメントサインが陽性となります。

 

臨床ではオーバーヘッドスポーツをしている選手では、他動的に内旋すると骨頭が前方に偏位することを多く経験します。

後方関節包にしっかりアプローチしていきたいですね!

ハヤシ

 

筋の評価(攣縮と短縮の評価)

筋肉、硬いですね!

理学療法士A

 

では、その筋はどのような状態になっているんでしょうか?

 

解説していきます。

筋攣縮とは

筋攣縮とは物理的、化学的刺激を受けると、侵害受容器が反応し、外側脊髄視床路を通り、脳へ痛みとして伝達されます。

また、脊髄反射により、筋や血管が攣縮します。

 

筋短縮とは

筋短縮とは、筋の伸張性が欠如し、実質部の伸張性低下と筋膜の線維化によって生じます。

 

筋攣縮・筋短縮を見極める評価

圧痛所見

攣縮している筋は、痛みを感知する受容器の過敏化により閾値が低下しているため、圧痛を認めることが多いです。

短縮している筋は、痛みを感知す受容器は正常であることが多いため、圧痛を認めにくいです。

 

伸張と弛緩の緊張の程度

筋攣縮は、その筋を他動的に短縮させても伸張させても緊張が高いです。

筋短縮は、短縮させると緊張は低下し、伸張させると緊張は高くなります。

 

触診するときにその筋を短縮位で触診すると、緊張している筋は攣縮しているということになりますね!

 

収縮時痛の有無

筋攣縮では、等尺性収縮されると、筋の内圧が上がり、疼痛が出現しやすくなります。

筋力も低下しますね!

筋短縮では基本的には、筋力も低下せず等尺性収縮を行っても、痛くありません。

 

まとめると▼の通りになります。

 

つまり攣縮している筋は筋力を発揮しにくいです!

筋力が弱いから筋トレではなくて、その筋を筋トレしていいかの確認は必要になりますね!

ハヤシ

 

肩関節挙上の関節可動域制限に対しての理学療法

ここでは徒手的介入を中心に、説明していきます。

 

外旋・内旋運動

まずは上腕骨を軸に回旋運動を行います。

 

①関節窩で回旋するように、上腕骨を把持し、他動運動を行います

②対象者の力が抜けて、他動運動ができるようになったら、他動運動についてくるように対象者に、自動運動を行うように指示します

③痛みのない範囲で、わずかな収縮を促します

正しく行えていれば、かなり外旋筋や内旋筋の緊張を抑制することができます。

 

内旋では可動域いっぱいとなり、肩甲帯が浮いてくることが多く見られます。

その場合は▼の後方関節包のストレッチングが効果的です!

ハヤシ

 

後方関節包のストレッチング

烏口突起と肩峰角を結んだラインが、肩甲上腕関節の関節面です。

 

上腕骨頭を適切に把持し、矢印の方向に上腕骨頭をシフトすることで後方関節包のストレッチングになります。

 

 

関節面を捉えると、動かす方法がわかってきますね。

ちなみに、Drが関節内にヒアルロン酸の注射する時も、このように触診して関節面を探しています。

ハヤシ

 

小円筋のリラクゼーション

①肩関節屈曲・内旋を行い、伸張位とする

②肩関節伸展・外旋を行い、収縮を感じる

ポイントはわずかな収縮です。伸張ー収縮を繰り返します。

ハヤシ

 

大円筋のリラクゼーション

①肩関節屈曲・外旋を行い、伸張位とする

②肩関節伸展・内旋を行い、収縮を感じる

小円筋と同様に、伸張ー収縮を繰り返します。

ハヤシ

 

自主トレーニング指導

関節が正しく動けるようになって初めて、自主トレーニングが効果的だと考えます。

 

以下に、自主トレーニングを紹介します。

 

広背筋ストレッチング

①壁を把持して、引っ掛けるように、少し重心を後ろに持っていきます

②脇の下から覗きこむように、身体を回旋していきます

この状態で、3~5呼吸行います。

 

ポイントは体幹側屈・骨盤の後傾です!

ハヤシ

 

上肢挙上のエクササイズ

上腕を挙上する時には、体幹機能と連動した挙上が理想的です!

上肢挙上の際、腰椎の伸展で代償する挙上パターンに対して、効果的なエクササイズを紹介します。

 

①スタートポジションは、仰臥位の膝立位で両手でバーを持ちます

②膝の角度を保ったまま、下肢を挙上位でキープします

③バーを天井にめがけて、身体の前方に向かってリーチします

④前方にリーチした上肢を、頭部へ向かって上方にリーチします

ポイントは下肢を挙上した状態を保ち続けることです

腹圧を高めることで、腰部での代償を抑えることができます!

ハヤシ

 

まとめ

上肢挙上を制限する筋として

  • 小円筋
  • 大円筋
  • 広背筋

▲の筋の作用は、ポジションによって大きく変化します。

 

その筋に対して、筋収縮を行うことにより、リラクゼーションをすることができます。

 

また、そもそも肩甲上腕関節が正しく動いていなければ、筋収縮を適切に促せません。

関節内運動も上肢挙上には、必要ですね!

 

さらに、適切に上肢挙上できるようになったら、自分で練習の前にW-upを行えるように、自主トレーニングを指導する必要があります。

 

私は、普段の臨床で、上肢挙上に制限のある患者さんに対して、必ず治療介入から自主トレーニングの指導まで行うように意識しています。

 

皆様のお役に立てれば幸いです!

参考文献

整形外科リハビリテーション学会 編:改訂第2版 関節機能解剖に基づく整形外科運動療法ナビゲーションー上肢・体幹

監修 林 典雄:肩関節拘縮の評価と運動療法 第1版

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